「好きなフルートで市民に安らぎを」
私が工学部に入学当時の生活は、学生運動も終息し、ノンポリ時代でのんびりした雰囲気で将来のビジョンも特に持たず、吹奏楽部を楽しむという漠然とした過ごし方だったような気がします。卒業前にオイルショックが起こり、おかげで就職状況も悪化、友人が内定した会社を紹介してもらい入社しました。
その会社は木材会社の施工図制作部門で、大手ゼネコンの下請業務がメインで、図面の承認をいただくために、よく設計事務所と打ち合わせをしましたが、担当者の建物に関する知識の豊富さに驚き、自分も建物全体を理解したいという願望が湧いてきました。その後、知人の伝で郡山市内の設計事務所に転職し建築士資格を取得した頃、モーテルの建設を計画している会社への誘いがあり転職、数年後、ついに自分の一級建築士事務所を開設する事ができました。以後28年、震災を経験してからは、特に人の命を守れるような住宅を作ろうという強い気概を持って仕事をしています。
仕事の合間には、今でも吹奏楽部時代からのフルート演奏を続けていて、音楽仲間(校友もいます)と入場料フリー(有料だとお客さんが来ない)の演奏会を毎年数回開催し20年になります。無料とはいえ、ある程度のレベルを維持するための『毎日の音だし』の努力は必要です(近所に迷惑を掛けつつ)。デジタル的な音があふれる今だからこそ、生の演奏が人々にとって癒しをもたらすのではと、今後も仕事と両立させて行こうと思っています。