「超音波センサの開発から製造、販売までを体験する日々」
企業担当者と学生へのインタビュー
超音波センサを中心とした産業用センサの開発・販売をしているオーミック電子株式会社(郡山本社)の神谷康廣社長は、地元福島県の大学生にアルバイト雇用という形で職場体験の場を提供しています。工学部情報工学科4年(情報サービスシステム研究室:大山勝徳准教授:情報5回卒)の学生2名も本年3月より勤務しています。今回、学生の指導を担当されている齊藤鷹之室長とアルバイト学生に寄稿いただきました。ありがとうございました。
■オーミック電子株式会社
~ものづくりの面白さを感じてほしい~
■オーミック電子株式会社
取締役技術開発室室長 齊藤鷹之さん
弊社は昭和63年の創業以来、超音波センサを中心とした産業用センサの開発・販売をしてきました。長年販売を支えてきたゴルフカート向けの超音波センサから近年は建設機械向けの障害物検知センサや鉄道向けのホーム検知センサなど、よりカスタム性の高い製品開発が増えてきています。このような状況で組立製造の多くを外部に発注していた体制から自社製造に移行していく必要性を感じ、昨年から製品組み立て人員を募集し始めました。
会社創業時よりお世話になっている日大校友会の方に相談したところ有難いことに2人の学生を紹介頂きアルバイトとして来て頂くことになりました。主な仕事内容は電子部品のはんだ付け、樹脂ケースの切削加工、塗装、製品の最終組み立てなどです。当初ははんだ付けに苦労している様子もありましたが、数週間もすると直ぐに上達し製造スピードも速くなっていてさすが若者は違うなと思わされました。また、単純な組み立て作業でもこちらの指示したやり方をさらに改善してより速く正確に作れる方法や工具を自ら作り出していたことに驚かされました。期末の2月~3月は製造数量が多く彼らの力が無ければ納期に間に合わない状況でしたので大変感謝しています。
組み立て作業だけでは面白くないと思い、3Dプリンタを用いた筐体設計やマイコンを使った各種センサの制御などについても適宜、設計手法を教えつつ実際に手を動かして作って頂いています。このような設計業務は初めから答えがあるわけではないので、使う人のことを考えながら自らアイデアを出し、時には周りの人と議論しながら、実際に製作し評価し、修正が必要なところはどんどん改善していくというものづくりの一連の流れを経験して頂いています。こう作るだろうという我々の予想と全く異なる方法や形状を提案してくることがよくあり、とても良い刺激を貰っています。学生との議論の中で新しい製造方法を発見できたこともあったので業界での常識がないからこそのアイデアを生かせる場面があるのだと思いました。
日大生の2人はよく手が動き、難しそうな課題でも先ずは作ってみるという姿勢が見られるので今後の更なる活躍に期待しています。弊社でのアルバイトを通じてものづくりの面白さを感じて頂くと同時に自分の興味や得意なことを見つけるきっかけにしていただければ有難いです。コロナ禍が長引くなか、学生にとって大学が第一の居場所になりにくい状況下で、ひとつの居場所として弊社に集まって一緒にものづくりをして、その経験をまた学業や今後のキャリアに生かして頂ければ嬉しいです。
~貴重な現場でのアルバイトの機会に感謝~
■工学部情報工学科4年
磯貝聖輝さん
オーミック電子で働かせていただいて、私は自分がやりたいことを見つけられたと思っています。大学に入学してから何をしたいのか分からなくなっていたところがありました。今回、授業ではあまり触れてはこなかったハードウェアに触れ、授業で今まで触れてきたソフトウェアと組み合わせ実践的にアウトプットすることで学んできたことの実感を得ることができ、製品の組み立てや3Dプリンタなどの実務を通して、私は組み込みシステムに興味を持つことができました。
今回の出会いは人生の大きな転換期になったと感じています。ソフトウェアにしか興味がなかった私がハードウェアにも興味を持つことができ卒業研究で組込みシステムを用いた研究を行いたいと思うようになりました。卒業後は、ソフトウェアだけでなくハードウェアもできるエンジニアとして活躍できる人材になりたいと考えています。やってこなかったことに挑戦することを大切にしていきたいと思います。
■工学部情報工学科4年
栃本涼さん
今回オーミック電子で働いた率直な感想は”楽しい”です。私は情報工学を専攻しており、基盤への電子部品の実装や3Dモデリングなどは分野が違うため経験がありませんでした。そのため、実際に世の中に出ていく製品の製造や開発に携わることは新鮮なことばかりで楽しく仕事をさせてもらっています。また、オーミック電子の皆さんの働く姿を間近で見ていると、社会の大変さや製品開発の一筋縄でのいかなさなども肌で感じ、自分が社会に出た後のイメージ形成にも大きく役立っています。これも開発から製造、販売まで一貫して手掛けているオーミック電子だからこそだと思います。
卒業後は大学とオーミック電子で学んだことを生かし、ソフトウェアとハードウェアのどちらにも通用するエンジニアとして働きたいと思っています。様々な出会いのおかげによりオーミック電子で働けている今、出会いはどこかにつながっているということを実感しました。このような機会をくださりありがとうございました。
【写真:ホーム検知センサ/組立後の製品群/議論1/議論2/組立1/組立2/組立3/組立4/学生の試作品】