支部・部会リポート:北海道支部リポート
100年の会社を目指して
~想いを受け継ぎながら新たに創り出す「再創」の発想~
新時代の校友企業:株式会社創伸建設
2019年にお父様から引き継がれた株式会社創伸建設の代表取締役である岡田吉伸さんは、地元北海道で、本年開業した北海道ボールパークFビレッジ内店舗の建設を手掛けられるなど、100年の会社を目指して建設業の新たな可能性を追求されています。また、同じ志をもつ若手の企業家の皆さんと連携し、ユニークなコミュニティ創出にも精力的に取り組まれています。ご寄稿ありがとうございました。
~私は日本大学工学部を卒業し、新卒でゼネコンに入社しておよそ15年間いろいろと経験を積ませて頂いたのち、住宅建設を営む父の後を継ぎました。1990年に札幌で父が創業し、私が社長になったのは3年前で、自分の得意領域で打って出ようと、それまでの木造主体から鉄骨造、鉄筋コンクリート造といった大型建築にシフトし、前職の仲間を引き入れて、業容を拡大してきました。
これまでの経験を活かして、予算や時間の管理などに独自のフローチャートを活用、技術力の高い協力会社とパートナーシップを締結、自社の施工基準を設けて全社員が施工管理のポイントを共有し、担当者が変わっても変わらない品質を提供する、少人数でも質の高い仕事を会社の強みとしています。その結果、現在社員は11名ですが、札幌市の競争入札参加資格で地場ゼネコンと同格のBランクの認定を受けました。直近の仕事では、北海道日本ハムファイターズのメイン球場である北海道ボールパーク「Fビレッジ」内の「TruffleBAKERY(トリュフベーカリー)」の施工を担当致しました。
弊社「創伸建設」の企業理念は「ホンモノを創る」です。私たちの仕事はその場所に残り続けるものをつくることであり、その建築物に対し責任があると思っています。責任を果たすには、会社を長く継続し、株式会社である以上成長も求められます。そうした中で、プラスアルファを考え続け、新しいビジネスを生み出しながら、100年企業を目指したいと思っています。
現在、弊社の建設現場では現場で働く職人さんや地域の皆様に向けた2つの取組みを行っております。一つ目は、冷凍パン自動販売機の設置です。冷凍パンは札幌市民のソウルフードである「ちくわパン」で有名な札幌のパン店「どんぐり」さんの、その日店頭に残ったパンを冷凍し3個箱入りで「もったいないBOX」として自動販売機で販売しており、大変ご好評を頂いております。現場事務所には電子レンジも設置し、現場従事者も気軽に美味しく頂けます。
二つ目は、フードトラックでの食品販売です。職人さんや地域の皆様においしく、温かい食事を提供したい想いから、「ご安全にカレー」と名付けカレーライスを販売しており、オリジナルののぼりも緑十字を模したデザインでキャッチーに仕上げました。現場のいわゆる「3K」(:きつい、汚い、危険)の払拭であるとか、現場従事者が美味しく温かな食事を気軽に購入できる環境を提供し、働きやすい環境をつくることなど、私が従来行いたいと考えてきたことが実現してまいりました。そしてどちらもSDGsの取組でもあります。最終的な目標は、地域の皆様に弊社の建設現場が身近にあった場合に親近感を持ち楽しいと喜んで頂けることであり、今後は企画をブラッシュアップし取組が浸透して行くことを願っています。
そのほか建設中の現場での取組で大変ご好評を頂いたのが、子ども向けのキッズ現場見学会です。子どもたちに建設業界に少しでも興味を持って欲しいと、定期的に普段見ることのできない施工中の現場で開催しており、参加者からは「普段通りすぎる建設現場も興味深く観察するようになった」「ビス打ち体験が楽しかった」等々の嬉しいお声が届いております。
先人の知恵や技術を受け継ぎ時代に合わせてさらに磨き上げ、建物や土地に込められた想いを受けとめ歴史を重ねながら創り直していく。そのことを私は「再創」と呼んでいます。建設業とプラスアルファを通して、人々の想いが建物や街とどのように繋がっていくか、どう繋げていくのがよいかを大事に考え、「再創」の発想で創設100年を目指してまいります。~
●ホームページ:株式会社創伸建設
【写真:北海道ボールパーク「Fビレッジ」内「トリュフベーカリー」/建設現場「株式会社サツヤ(仮称)札幌ヤクルト販売センター発寒店新築工事」でのフードトラック食品販売/建設現場「大通公園野外ステージ外部ほか改修工事」/キッズ現場見学会/冷凍パン自動販売機】