アカシア文庫入庫のお知らせ 『安心・安全ペダルへの道』
『安心・安全ペダルへの道』
~高齢者の自動車運転の社会問題点を考える~
以前にも、複数の著書を寄贈いただいた、熊本県で大学教員を務める、建築学科22回卒の西島衛治さんから、校友会アカシア文庫に、5冊目を寄贈いただきました。昨年4月の熊本地震の被災の中、近年の高齢者の運転事故の社会問題に対しての提言としてまとめられた1冊です。 ありがとうございました。
~昨今、高齢者の自動車運転による加害事故が急増しています。現在、国民の1/3は高齢者です。後期高齢者が、ピークと予想される2025年には東京でも急激に高齢化が進むと予想されています。交通事故の加害者年齢層は20歳代と60歳以上の高齢層が、顕著に多く、若年層は運転未熟と推測され、30歳代からは事故が減少します。高齢者の運転事故は身体の運転機能や知覚機能の低下、認知症など高齢化に伴う運転不適応によると思われます。日本では、年間3千人以上(高度成長期のピーク時には最大で16千人/年以上だった。)の交通事故死が発生しています。WHOの発表では、世界中の交通事故死亡者は125万人/年です。アジアでも高齢化が進むと日本同様に高齢者の運転事故急増の可能性があります。
私の専門は、人間工学や福祉環境工学ですが、現在のアクセルとブレーキの2ペダルを踏込むシステムは、構造的に欠陥があると考えています。日本では毎年、7千件程の踏間違い事故が発生しており、警視庁の統計以外にも自損事故など潜在的事故件数も多いと推定できます。ハインリッヒの法則だと210万件の「ヒヤリハット」が発生していることになります。近年、自動ブレーキや自動運転の開発が進行していますが、完全な安全性は保障されていません。20年程前に開発された「ワンペダル」は、踏むペダルが1つで、アクセルとブレーキの踏間違いをほぼ完全に防止でき、しかも空走距離を減少させ事故を減らす装置です。現代にこそ、このシステムを導入し浸透させることが急務と考えます。~