支部・部会リポート:関東支部リポート
美術に賭けたセカンドライフ ~70歳を目前にしての想い~
64歳で武蔵野美術大学の造形学部通信課程2年生に編入され、絵画制作に励んでこられた多胡稔さんは、今春卒業式を迎えられました。また、同時期に開催された第58回前橋市民展で県教育長賞も受賞されました。おめでとうございます。ご卒業にあたり再度ご寄稿いただきました。ありがとうございます。
~この度、70歳の誕生日を直前に控え武蔵野美術大学を卒業いたしました。2018年10月に通信課程2年生編入ということで始まった学生生活でありましたが、コロナ禍の影響を受けながらも卒業制作展を終了し、2024年3月15日にて卒業式を迎えることができました。
造形学部油絵学科ということで、工学部における卒業研究の代りになるものが、6単位を占める卒業制作作品・卒業制作展かなと思います。入学からの学習を踏まえての集大成であり、F100号(約1.3m×1.6m)を2作品提出することで審査を受け、単位の取得及び卒業条件を満たすことができました。
題材としては全くの自由でありまして、具象系から始まり抽象系まで色々な作品がありました。一緒に学んできた学生の状況も高校を卒業したばかりの人、会社員でありながら大卒資格を取ろうとする人、四年制大学を他学部で卒業した現役社会人、すでに画家であったり、デザイナーであったりしても更なる知識向上を目指す人互いに異種業種・異種環境という様々な学生の集まりでありました。スクーリングにおきましては先生からの指摘で泣きじゃくる人、悩んで1日中描き始められない人、自分の作品が思うようにならず破り捨てる人など、工学部時代とはかなり異質な授業風景や学生気質を見ることもあり、各自の個性という面では強烈な場面に遭遇することもありました。
年齢的には高齢者の部類に入っていましたが、年齢がバラバラであっても互いの作品の制作や講評については全く区別ないやり取りの連続でありました。そのような中で方向性の無いまま卒業制作に入っていった次第であります。やや抽象的な方向ではありながら、具象系の人物を残した形で俵屋宗達の風神・雷神がいいかな?宗達の表現するものとは異質な「風神」「雷神」になっていければいいかな?という程度の制作開始でありました。
工学部時代から、受けに受けた日大気質、それに染まって土木関係に40年以上務めた結果の表現が作品のどこかに漂っていれば良しとしようという気持ち、そんな感じの中で仕上がった卒業制作品でありました。題は異なったものを使おうかなと思いましたが、宗達に対して直球勝負、「風神」「雷神」でいくことにいたしました。
そして、卒業制作展の後における卒業式、日本大学工学部と比較して全く異質な学校、その式に参加するにおいて、日大卒という自分を少しでも感じさせるようなことができればと卒業式に学生服を選択し参加いたしました。このような年齢で勉強や経験など同級生からの今までに考えられない刺激を受けさせてもらい卒業することができました。パソコン作業も仕事上のエクセルやワードの世界から発展し、毎年度における履修登録の作成や各スクーリング(実習)の申し込みなどを学習せざるを得ませんでした。そんな中で支えてくれ、作業を教えてくれたのが様々な同級生達でもありました。
SNSにおいてもTwitter・インスタグラム・絵画販売・デザイングッズ販売など全く未知の世界にも導いていただけ、絵を描く技術以上なものを得られた経験でありました。今後における人生の時間をずっと学校に在籍したいという気持ちはありますが費用も掛かりますし、健康も絶対安全という訳にもいかず、丁度良い引き際であると思い卒業いたしました。更には時期を同じくして前橋市の市民展で県教育長賞という大きな賞を「天空の夜に住む」という作品で受賞し、喜びに浸りながら70歳を迎えたいと思います。
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以上上記のようにSNS活動をしておりますのでお時間のあるときにでもご覧頂けたらと思います。~
【写真:第58回前橋市民展 県教育長賞「天空の夜に住む」/学生服での卒業式/卒業制作品「雷神」/「風神」/卒業証書】