「拝啓、先生」 ~佐藤憲一さん(総合教育:数学)〜
東日本大震災の翌年の3月末で40年間専任教員としてお世話になった工学部を定年退職しました。金沢大学理学部の修士を修了した25才の時に工学部の数学教員として採用され助手を5年、専任講師を12年、助教授を6年、教授を17年経験しました。助手の時でも、授業は専任講師や助教授の先生と同じ6コマを持っていて微分・積分・線形代数などを講義していました。
最初に驚いたのは、定期試験で専門学科の試験監督をしていた時、当時の学生たちが一斉に計算尺を見事に使って問題を解いている姿でした。それを見て、『工学部』を実感したものです。その後、工学部で扱っている数学の殆どの科目を講義しました。代数を主に勉強していた私にとって、解析系の多い工学部の数学は新鮮で興味深いものでした。44歳の時に海外派遣で1年と少し留守した他は、毎年各学科の500人近い学生に何等かの数学科目を講義して来たので、2万人程の学生さんに、数学を通じて接することが出来た事になります。そのことが皆さんにとって、幸いであったらと祈らずにはいられません。
現在は非常勤講師として、工学部にお邪魔しています。私が初めて教えた皆さんは62歳なる年頃です。また、それに続く皆さんも元気にお過ごしの事でしょうか? 可能な限り広く情報を集め、物事をじっくり考えられる時間的・精神的スペースを確保して、国内外の激動の中でも、自信を持ってお過ごし下さる事を念願しています。