「拝啓、先生」~宮田公治さん(総合教育)~
「工学部留学生への日本語教育について」
工学部でも留学生が各科で勉学に励んでいます。それらの学生に対し、総合教育日本語研究室准教授の宮田公治先生は、他科目の先生とコラボレーションするなど、日本語能力・文化理解向上のために工夫を凝らした授業を実践され、日本人の学生にも良い影響が出ているようです。また、日本語に関する書籍や多くの日本語学習者が愛用している日本語能力試験問題集の編纂にも携わるなど、研究・執筆にも取り組まれています。ご寄稿ありがとうございました。
~工学部には、毎年10名前後の外国人留学生が各学科に入学しています。出身地は中国が多数を占めますが、近年はベトナム・マレーシア・アラブ首長国連邦・ロシアなどの学生も入学しており、多様化が進みつつあります。彼らの多くは、入学の1~2年前に来日して、東京などの日本語学校で日本語学習と受験準備をした後、大学に入学します。
現在、工学部には全学科共通の留学生用科目として、1年生の外国語科目「基礎日本語Ⅰ・Ⅱ」、2年生の外国語科目「日本語講読Ⅰ・Ⅱ」、2年生の教養科目「日本の文化」が設置されています。文法や発音など基礎事項の確認のほか、大学生活で必要なレポートの書き方や、教員へメールを送る時のマナー、さらには同年代の友人との自然な(丁寧でない)会話など、実践的な練習もしています。「日本の文化」では、食生活・冠婚葬祭・皇室・地理・歴史など、日本人が常識としている文化的知識を紹介し、自国との違いなどについて討論しています。
令和2年度はコロナ禍で来日できない状態の学生がいたこともあり、すべて遠隔授業で実施しました。タブレット端末を使った作文の添削、Zoomでの会話練習など、私にとっても試行錯誤の1年でした。幸い、令和3年度は対面授業主体で行うことが可能になりました。やはり教室での授業は楽しいです。
なお、大学院工学研究科にも留学生が在籍しています。英語による授業だけで修了できる課程もあるため、日本語がまったく分からない状態で入学する留学生もいます。授業や研究は英語だけで完結しますが、日常生活や研究室内でのコミュニケーションでは、最低限の日本語が使えた方が便利です。そこで、彼らを対象に初級日本語を教えることを目的とした課外講座「異文化理解のための日本語リテラシー」を、英語の川﨑和基先生と一緒に開講しています。現在、モンゴルから来た大学院生が参加しているほか、英会話や国際交流に関心のある日本人学生も顔を出して、異文化コミュニケーションを楽しんでいます。
昨年以来、国境を越えた人の往来が滞った状態が続いていますが、事態が改善するのはそう先のことではないと思います。世界中から集まった新入生と出会うことを楽しみにしています。~