支部・部会リポート:東東海支部リポート
東日本大震災を踏まえた静岡県における防災教育の研究
昨年の東日本大震災は、多数の犠牲者を出しました。私は勤務先の静岡県立科学技術高等学校の生徒との会話や授業の中で、震災を被害で終わらせず、そこから学んだことを生かす道を考えました。その為には、被災地を見、被災者の話を聞く事が重要と考え、翌日から地元新聞の震災関係記事を収集、まとめ始めました。
その過程で、静岡は地震発生確率が高く、発生箇所により津波の可能性も大きいことが分かりました。残念ながら、本県には土木教育関連学科の大学がありません。地震発生に対応するには、本校での、「地元に残り活躍できる土木技術者の育成」が急務です。
本校都市工学科を中心に、岩手・宮城両県の被災地視察を計画、7月に建設トップランナー倶楽部の東日本大震災「現場からの証明」にも参加、大きな示唆を頂きました。その資料を学内で検討、夏休みの8月に第1グループ6名は、静岡県教育委員会総務課の高校生被災地ボランティア活動に、第2グループ16名は学校と建設業協会との連繋でそれぞれ被災地の視察・活動を体験しました。9月にこの体験発表会を実施しました。
ここから、東日本大震災の現状を把握、今回震動被害のみならず、大津波で多数の人命が失われ、建物や土木施設も被害が甚大だった事、海岸・下水道・河川・ダム・道路施設等の土木施設において、本件に当てはめた研究が必要である事、また被害地釜石市内で死者・行方不明者の65%がハザードマップの浸水想定域外に住んでいたこと等、本県でもハザードマップの重要性を痛感。学校教育でも地震発生から避難開始までの時間、避難行動、避難場所等、其々の観点から研究の必要を実感しました。
また、土木技術者として最優先事項であるインフラ(ライフライン)のいち早い整備、復旧等々は地元の業者に頼らざるを得ません。加えて行政側のリーダーシップ、質の高い技術者の育成は言うまでもありません。静岡県には、浜松原発もあり静岡空港の防災拠点としての研究もしなければなりません。ソフト面では避難勧告用メディアの整備、ハード面では、路面電車導入を考えていきたいし、東海地震が発生した場合第一に人命を確保し、地盤液状化での道路の機能維持、透過水平板付スリットケーソン消波装置、新幹線の地震対策レールと車間離れぬ工夫等々、今後も学校として研究を進めたいと思います。