支部・部会リポート:教員部会リポート
「福島イノベーション・コースト構想と学卒者訓練とのかかわり」
~母校日大工学部との連携実現を期待!~
南相馬市に位置する福島県立テクノアカデミー浜/職業能力開発短期大学校のロボット・環境エネルギーシステム学科で教務主任を務められる尾形嘉智さんは、2020年3月に福島イノベーション・コースト構想に基づき開所(南相馬市・浪江町)された陸・海・空のフィールドロボットの一大開発実証拠点である「福島ロボットテストフィールド(RTF)」に学生を引率しロボット教育に力を入れておられます。ご寄稿ありがとうございました。
■自己紹介
私は、平成13年度に工学部電気電子工学科入学。卒業後は、東京電力福島第二原発で計装設備の保守を行う会社に入社。その後、福島大学大学院共生システム理工学研究科修士課程にて、系統連系用のインバータについての研究を行いました。
修了後は、日立製作所グループ企業で、火力発電所向け補機制御装置(制御盤)のハード設計に従事しました。また、中小企業にて、理化学機器の設計製造と施設設備の管理業務を経験しました。
現在は、福島県立テクノアカデミー浜職業能力開発短期大学校で、主に学卒者訓練を担当し、ロボット・環境エネルギーシステム学科教務主任として(2年生を担任)、電気機器、電子工学、電気応用、制御工学などの教科を担当しています。卒業研究では、独立型太陽光発電についての研究テーマを指導しています。家庭では最近、子育て真っ盛りで無趣味に近いですが、年に2~3回軽登山をして、山頂でのアマチュア無線運用を楽しんでいます。
■学校紹介
テクノアカデミー浜校の設置学科は下表のとおりです。在学生は、高校卒業程度および社会人経験をした若年者が主に在学しています。
課程 | 設置科 | 訓練期間 |
---|---|---|
専門課程 | ロボット・環境エネルギーシステム学科 | 2年 |
普通課程 | 機械技術科 | 2年 |
自動車整備科 | 2年 | |
建築科 | 2年 |
■ロボット・環境エネルギーシステム学科について
福島県の相双地域では、福島イノベーション・コースト構想に基づき、ロボットや再生可能エネルギー産業などの創出・集積がすすめられており、この構想を担う人材が求められている状況に対応するために、ロボット・環境エネルギーシステム学科が開設されました。実践的な教育訓練を行うため、ロボット関係では会津大学と、エネルギー関連では福島大学と連携を進めているところです。
また、ロボットテストフィールドは、テクノアカデミー浜校から東に2キロ程度にあり、活用が進められています。直近の連携事業および、ロボットテストフィールドの活用事例と今後の予定は、以下のとおりです。
(1) ソーラーカーレース参戦に伴う車体製作と試験走行
(2) 会津大学ロボット教育に参加 (ロボットテストフィールドで開催)
(3) 若年者ものづくり競技大会に参加予定 (ロボット製作と試験)
(4) WRS(ワールドロボットサミット)福島大会に参加予定 (ロボットテストフィールドで開催)
■取り組みの様子
前述の、ロボットテストフィールド会場にて実施されたロボット教育「Raspberry Piを用いた画像認識制御手法の適用」に、学生が参加しました。私は、担任として引率しました。写真は、画像認識による自動マッピングの実習をしている様子です。
■所感
母校の日大工学部で学んだ内容が、今の私の根幹となっていると日々感じます。特に電気の分野については、基礎実験や、基礎科目が土台になっています。当時は、花開かずでしたが、根はしっかり作ってもらったと思っています。
福島県内において、日大による工学分野における人材の輩出は、目を見張るものがあります。一方で、前述のとおり、テクノアカデミー浜校での教育訓練の連携先が、近隣の国公立大学ばかり目立ちます。ここはぜひ、母校である日大工学部の教授陣に、テクノアカデミーの専門科目の講師として来ていただくなど交流が生まれ、日大工学部とテクノアカデミーとの連携事業が実現することを期待するところです。
福島県の若者を一丸となって育て、福島県の一層の発展につなげる。これこそが、福島県イノベーション・コースト構想の一つになるのではないかと考えます。
●福島県立テクノアカデミー浜 Hama Technical Academy(tc-hama.ac.jp)
●福島ロボットテストフィールド (fipo.or.jp)