支部・部会リポート:東海支部リポート
私の趣味 『水彩画への取り組み』
多忙な現役時代を過ごされ、退職後いくつかの趣味の一つとして、現在も水彩画創作を楽しんでおられる佐治さんに、その経緯を振り返りご寄稿いただきました。ありがとうございました。また、佐治さんは工学部化学科同窓会の理事も務められており、本年3月に4年ぶりに母校で開催された化学科同窓会に参加、同窓生や教職員の皆さんと再会をされました。
1. 会社時代を振り返って
会社を定年退職して、さて何をやりましょうと考えました。
振り返ってみると仕事だけの会社人生でした。工学部工業化学科を昭和48年3月に卒業後、高分子研究室の卒業研究テーマであった接着剤を製造販売している愛知県のアイカ工業株式会社(現在の事業:化成品部門…接着剤、建設樹脂、機能材料等および建装建材部門…メラミン化粧板、ボード・フィルム類、インテリア建材等)に就職し、接着剤の研究開発に従事しました。その後、プリント配線板製造・販売子会社の設立と同時に量産立ち上げのため出向し、技術開発部門の責任者として従事した後、アイカ工業株式会社に戻り電子部門の研究開発責任者、電子事業部長を務めました。
その後、新設したR&Dセンター長として新商品・新技術開発および研究人材育成に邁進しました。常務取締役R&Dセンター長、品質保証担当、環境安全担当を歴任後に執行側を離れ、常勤監査役として6年間、取締役の職務執行を監査しました。このように会社時代には趣味をする余裕も無く考えたこともありませんでした。
2. 趣味選び
学生時代から入会している『日本接着学会』や退職後入会した『技術経営士の会』の活動は仕事の延長上に近いですが、いざ会社の仕事が無くなり、やることが急に無くなると毎日何をしたら良いかわかりません。
会社の先輩・友人、学生時代の友人、業界の知り合いの皆さんとも相談し、思い当たるサイクリング、英会話、水泳、水彩画をまずやることにしました。 英会話は2020年東京オリンピック・パラリンピックのボランティアガイドに参加するため、都市ボランティアガイドに登録し研修会にも参加しましたが、残念ながら新型コロナウイルス感染拡大で2021年春に辞退しました。
サイクリング、水泳は健康維持のため継続していますが、一番熱心に続けているのは水彩画です。水彩画教室に入会して8年、教室は月2回であり生徒は10人程度です。絵を描くは子供の時から好きでしたので継続できているのではないかと思っています。月に2枚ほど描いていますが、写真と違って面白いのは実際の景色と違ったものや色を自由に描けることです。好きなものは風景画であり、特に山や家屋が含まれた風景を良く描きます。
3. 水彩画について
水彩画の基本は遠近法が当然ですが、近景は太く・強く・濃色で描き、遠景は細く・弱く・薄色で描きます。色付けは線が消えない程度に薄く、白を表現する時には白色絵具を使わず紙の白地を生かします。光と影を塗り分ける、主体に描きたいものは中心部から少し外す、線は鉛筆または耐水性ペンで描きますが1回で描ける様にと先生から良く言われます。
風景画は旅行などで色々な場所に行く度に、現地で小さめのSMサイズ(227㎜×158㎜)に30分程度で描き(影の向きや長さが変わるため)、簡単に色づけします。現地で色づけするのは景色の色、光と影を正確に捉えるためです。写真を一緒に撮り、現地で描いた絵から自宅に戻った後にF6サイズ(410㎜×318㎜)またはF8サイズ(455㎜×380㎜)に描き直します。
4. 作品の発表
作品の発表は市民会館の文化グループ発表会(年1回)、先生の愛知芸術文化センターにおける個展(2年に1回)、色々なギャラリー(年に数回)に展示しています。
残念ながら新型コロナウイルス感染防止のため、ここ3年間は開催されていませんでしたが昨年より徐々に再開し、今年は例年通りに戻りほっとしています。作品の水彩画は挨拶状(ポストカード等)や年賀状に、最近ではオリジナル切手等にも活用しています。
5. 趣味の大切さと明日への話
水彩画教室のメンバーや展示会の来場者に自分の絵に込めた思いをお互いに伝え合うことが大切であり、自分と違った経験をした方とコミュニケーションでき、同じ会社と業界で仕事をしてきた自分には大変新鮮でした。英会話やオリンピック・パラリンピックのボランティアガイド研修会でも色々な経験を持った人との会話ができ視野が広まりました。
今後の高齢者社会における人と人の繋がりには趣味やボランティア活動を通じて人材交流の輪を広げることが大切であり、話題作りにも有効であることから認知症予防にも役立つものと考えます。
特に退職後の皆さんは趣味を持ち、趣味の輪を広げ、生活に張りを持たせて明日に向かい、張り切って過ごしましょう。
【写真:作品「会津磐梯山」/同「立山室堂山荘」/同「かわせみ」/化学科同窓会(2023)でのスピーチ】