『技術士を取得し、技術のエキスパートを目指せ』
本部リポート:新時代の校友名鑑
日栄地質測量設計株式会社(本社:いわき市)の理事をされている畠さんは(公益社団法人)日本技術士会東北本部副本部長・福島県支部長日本技術士会東北本部福島県支部 (f-gijutsushikai.net)の要職も担当される傍ら、地元河川愛護会の事務局として古川池の環境整備のために、活動されています。後輩校友の皆さんへ技術士を目指していただきたいとの熱い思いをご寄稿いただきました。ありがとうございます。
~私は生まれも育ちも工学部の近くで、現在も住んでいます。従って、我が工学部の変遷は60年以上つぶさに見てきましたが、その変貌には目を見張るものがあります。唯一変わらないのは、正門からの桜並木と中庭から1~3号館周辺の桜です。仕事柄いろんな所を歩いていますが、正に日本一の桜だと胸を張れますね。
ここ数年は、旧阿武隈川で、現在工学部内を流れる徳定川の一部にもなっている古川池の環境整備のために、工学部の「ロハスの池PJ」にも採用された活動に地元河川愛護会の事務局として一緒に活動しています。
私の大学時代を振り返ると、昭和49年(1974年)~52年(1977年)の第1次オイルショックの影響がまだ残り、就職難にあえいでいた時期でもありました。クラブは、少林寺拳法部で4年間汗を流しましたが、今は残念ながら部員が集まらず廃部になったようです。優しい先輩方に懇切丁寧に、熱く熱く指導されたのが今となっては良い思い出ですね。
仕事は、建設コンサルタントに所属し、主に地すべり災害を含む地盤・防災に関する業務を中心に経験してきました。現在も理事として若手指導・技術士会を中心に活動しています。
日本技術士会は、戦後復興を早めるためには技術者の育成が急務とのことから1951年に設立されたと言われています。技術士には、私の専門の建設部門の他、機械・航空宇宙・化学・金属・農業・水産・環境・原子力等21の部門と幅広くあります。時代はICT・AI等がクローズアップされていますが、それらはあくまでツールスであり、それを正しく活用し、最後に判断するのはやはり技術者の目です。最近の頻発する大災害や、伊豆山の土砂崩落のようにきっかけは豪雨ではあっても、その根本原因は未然に防ぐことが出来ることが多いのではないでしょうか。そのためには、まずは実際に自分の目で現場を見ること、現場でしか知り得ないことが必ずあります。その目を多くの現場を見て蓄積することが一番重要です。
現役の学生の皆さんには、学科を超えた交流を是非積極的に進め、議論をすることを望みます。日本のインフラの多くは老朽化が進み、その維持・補修が緊仡の課題になっています。そのための点検・診断では、工学部のほとんどの学科の技術が係わってきます。現在新型コロナウイルスの影響で、直接面談での議論はしにくい環境ですが、学科を超えてリモート飲み会なども含めて、楽しみながらワイワイやって下さい。
現在、日本技術士会等の立場で若手技術者育成の講師も引き受け、技術の伝承に微力ながら努めています。
日本技術士会の事業には、毎年全国大会を初め、多くの事業があり、幅広く地域を越えた交流をしています。2018年には、郡山で全国大会を開催し、私は実行委員会副委員長として現場を預かり、約700名が集い盛大に開催することが出来ました。また東北本部では、今年をキックオフとして「東日本大震災10周年事業」を5カ年計画で開催することになり、第1回を本年7月に仙台で開催しました。これは、大震災で大きな被害を受けた岩手県・宮城県・福島県の被害~復旧・復興と、反省として今後どうするべきか等を、検証を含めてまとめていくことにしています。事業の目標は、「防災の主流化を担う技術士の人材づくり」です。
工学部はJABEEの認定を受けているので、卒業と同時に申請により技術士の準会員(技術士補)となることが出来ます。その後技術士の元で4年の実務経験で技術士2次試験の受験が可能ですので、是非挑戦し我が技術士会へ入会してください。ただし、技術士の取得には大きな壁があり、私も苦節7年の時間を要しました。ただただ諦めないことが技術士取得には欠かせない要素ではないかと痛感しています。因みに技術士合格の平均年齢は約42才です(偶然私の合格年齢です)。現在では、合格体験記やいろんな参考資料もありますので、それらを有効に活用し日々の業務でも活かして行くことが近道です。健闘を祈ります。~
【写真:2018年(公社)日本技術士会全国大会(郡山)にて/古川池:国土地理院提供】