起業5年目、全国初「輸出用清酒製造免許」第1号取得 ~只見町の米焼酎を世界に!~
本部リポート:新時代の校友企業
建設会社勤務から一転、米焼酎製造販売の「合同会社ねっか」を起業され、代表を務められる脇坂さんは、起業間もなくから国内外の各賞を受賞し、焼酎造りを通して只見町の活性化にも貢献されています。今年は隣接する空き家のリノベーションを地域の方々と始められたとのこと、建築の知識と経験が活かされそうですね。これからもご活躍をお祈り申し上げます。
只見生まれの米焼酎 ねっか (nekka.jp)
~人口約4,000人の福島県只見町。福島県の西端部、新潟との県境にありユネスコ・エコパークに認定された自然豊かな地域で、冬は積雪3m以上にもなる日本有数の豪雪地帯でもあります。そこに私の会社「合同会社ねっか」はあります。
弊社は「地域の想いをかたちにし、次世代に想いをつなぐ」を理念に掲げ、米農家4人と共に2016年に設立しました。6haの自社田で栽培した酒米を原料に、米焼酎「ねっか」を製造しています。私たちのつくる米焼酎は、今までに無い吟醸の香りの高さが特徴です。自社用の酵母の開発や、良質な米の栽培を目指して第三者認証のJGAPを取得するなど品質や美味しさの為に努力した結果、初年度からイギリスの品評会でシルバーメダルを頂いたのを皮切りに、香港、スペイン、日本、今年は、フランスの品評会でも、最高賞やゴールドメダルを頂き、世界の人々にも認めてもらえるまでになりました。
また、弊社が誕生した背景には、過疎高齢化による耕作放棄地を無くし、田んぼを守る取り組みや、豪雪による冬の雇用創出、U・Iターン者の受け入れ、関係人口の創出があります。米を活用することは担い手の減る農家や田んぼを守ることに繋がり、冬の仕込みがメインの酒造りは、農家の人たちの冬の雇用の場となりました。これらは、SDGsにもある住み続けられるまちづくりを目指す取り組みでもあります。この弊社の取り組みが認められて、2018年には、「第4回ふくしま地産地消大賞」を頂き、翌2019年には、復興庁の「新しい東北復興ビジネスコンテスト」で大賞を頂きました。そして、福島民報社主催の「第5回ふくしま産業賞」では、銀賞を受賞し、昨年2020年は、農林水産省主催の「六次化アワード」では、食料産業局長賞を頂くなど、大変名誉な賞を受賞することが出来ました。
現在は、地域の方々が弊社の取り組みに参加されることが多くなりました。只見町にある3つの小学校では、田植え・稲刈りを通して地域農業を学び、私たちはその取れたお米で米焼酎をつくり、20歳になったらプレゼントするという活動もしています。中学校では、ESD(持続可能な開発の為の教育)海洋教育の一環で、プラレジ袋削減に取り組んでいて、使用済みの米袋を活用したねっかを入れる「ねっか袋」を製作してくれています。高校生は地域学の中で、弊社のPRをしてくれています。大人の方々も沢山の場面で弊社に関わってくれています。今年は隣接する空き家のリノベーションも地域の方たちと始めました。
益々地域との関わりが深くなってきている弊社ですが、5年目となる本年はとても大きな出来事がありました。それは、全国初となる「輸出用清酒製造免許」の第1号取得です。現在日本では、日本酒の新規製造免許は認められておりません。ですから今回の免許は輸出に限りとなるわけですが、業界的にはとても大きな出来事になります。すでに香港をはじめ多くの国から商談を頂いており、冬の新酒から輸出が始まります。
人口わずか4,000人の過疎の町から、世界に向けて。地域の子供たちの未来や夢を背負いながら、100年続く企業を目指しこれからも地域と共に歩んでいきたいと思っております。~
【写真:IWSC2018シルバーメダルダブル受賞/「新しい東北復興ビジネスコンテスト2019」大賞受賞/米焼酎「めごねっか」「ねっか」「ばがねっか」/田んぼで全員集合/小学生による田植え/ねっか蒸留所/南会津郡只見町の田園風景】