「令和三年度建築学科卒業設計優秀作品展」~故郷に思いを寄せて~
2月10日、70号館1階にて「令和三年度建築学科卒業設計優秀作品展」が開催されました。会場には力作がジオラマ・模型・パネル等で展示されました。その中で静岡県出身の小原烈さんは愛する故郷、浜松市の天竜区に存在する川下りという文化に着目し、川下りを基軸として地域性を活かした拠点を設け、地域の代表的な観光業として発展させる『天竜の旅路』を提案、当日会場で説明をしていただきました。卒業後は大学院に進学予定とのこと。今回、卒業設計の振り返りと大学院での抱負についてご寄稿いただきました。ありがとうございます。これからの小原さんの御活躍をお祈り申し上げます。
~私にとって卒業設計とは、大学4年間の集大成となるとても重要なものでした。今までの設計課題で手を抜いたことは一度もありませんでしたが、卒業設計は、それ以上にやった充実感がありました。講評会を終えて、「こうしておけばもっといい作品になったのに」「どうして思いつかなかった」などという、作品に対する反省も多くありましたが、総合的に見て、私の大学4年間で、最もいい作品に仕上がったのではないかと思っています。
卒業設計は、敷地選定から始まりました。私は、自分と多くの時間をともに過ごした地元を選定しました。敷地選定にあたって、現地に行って調査したり、インターネットや図書館で調べものをしたり、敷地に関する美術館を訪れたりすることで、今まで気づかなかった、多くの地元の魅力に気付くことができました。10年以上住み続けた町でも、知らないことは多くあることが分かりました。
建物の設計で苦労したことは、川辺の建築であることです。選定した敷地に建築を設計することは、非常に苦労をしました。担当指導教員である浦部智義教授のアドバイスを受けながら、何度もスタディをし、丁寧に設計していきました。町の魅力と建築を結び付け、形にしていく過程は、非常に労力を費やしましたが、同時に楽しい時間でもありました。
提出前の一週間は、一日のほとんどの時間を製図室で過ごしていました。深夜まで残り、昼前までは研究室に来る。そんな生活を送っていました。そんな生活に付き合って、卒業設計の模型作りを手伝ってくれた後輩たちには、感謝しかありません。もし後輩の手伝いが無ければ、ここまでの模型は提出できなかったと思います。
卒業設計は私に、普段の設計課題では意識することのない、多くの気づきと学びを与えてくれました。結果的に悔しい部分も多くありましたが、やってよかったなと思います。ここで得た教訓を胸に、卒業後も精進し、成長していきたいと思います。学部では、設計が主な活動でしたが、大学院では、研究が主になると思います。研究と設計の違いをしっかりと理解し、励んでいけたらなと思います。
今現在では、美術館の研究ができたらなと思っています。現代における美術館の問題と可能性を追求し、自分なりの考えを持てるように頑張っていきたいと思います。~
【写真:『天竜の旅路』ジオラマ模型1/ジオラマ模型2/パネル1/パネル2/パネル3/パネル4/パネル5/パネル6/展示場全景1/展示場全景2】