「デジタルファブリケーション技術施設の空間レイアウト・利用実態についての調査」
~学びの交流空間を実現したい~
園田さんは、建築・地域計画研究室の宮﨑歩先生のもと、研究員として独自の視点から、複数のユニークな研究に取り組んでおられます。その中で、昨年度の大学の研究発表会や福島イノベーション創出プラットフォーム事業成果発表会での内容が発展性のあるものでしたので、概要をご寄稿いただきました。ありがとうございます。今後のご活躍を祈念いたします。
~私の研究テーマは、10年ほど前から注目されるようになった3Dプリンターやレーザーカッター等を用いるものづくりを現すデジタルファブリケーションという技術を学ぶことができる施設(以降はファブ施設と称します)を対象に、空間レイアウトや利用実態について調査するというものです。この研究の目的は、ファブ施設に必要な面積やレイアウトを知り、今後の新しい施設の設立や改築などの一助とする所にあります。
まず私がこのテーマを調査するきっかけとなったのは、私自身がこのようなファブ施設の設立を検討した際に得た課題です。先ほど例に挙げた3Dプリンターやレーザーカッター以外にも様々なデジタルファブリケーション機材が存在する中、「誰へ向けた」「どのような設備を」設けるべきかという明確な目安が少なく、私の場合は準備段階の工房として所属研究室内に小規模のファブ設備を設け手探りで需要を確認していく傍ら、国内のファブ施設の調査を始めたのです。
調査したファブ施設の中で注目すべき点として、技術者だけでなく広く様々な利用者を想定し、特に学生等へ向けた学習機会としてイベントを起こす例が多く確認できた事が挙げられます。また、施設同士で共通の設備を備え相互に情報共有し、都心でも地方でも同じ条件で知識を蓄積する事ができる形態が多く存在しましたが、一方で特定の客層の需要のみを叶える設備のみを揃えた小規模な施設や、カフェ等の集客設備を同時に備えた施設など、10年前ではあまり見られなかった新しい形式のファブ施設事例も確認しています。そして、それらの事例に共通して見られるのは「交流」を主目的としている点であり、今までの技術支援を目的とした機材借用センター等とは大きく異なると言えるでしょう。
このような調査を経て、今の私は「これからの日本のものづくりを支えて行く学生達へ向けた」「気軽で楽しい学習で他学生や卒業生との交流が叶う設備」こそが、私の地元である福島の工学部に必要なのではないかと考えています。
これからは、既に施設を持つ日本大学の理工学部や生産工学部を参考にしていき、日本大学工学部の卒業生がファブ施設を目的に福島へ帰って来られるような、そんな学びの交流空間が実現できるように頑張っていきます。~
【写真:機材(3Dプリンター)/機材(レーザーカッター)/機材群の様子】