お帰りなさい。 事務局においでの校友のご紹介
母校を訪ねる会編
現職中(元千葉工業大学教授)は参加できませんでしたが、今回は卒業50年,これが最後のチャンスと思い参加しました。
当日は北桜祭開催中で模擬店、サークルの展示とキャンパスを巡り、この校友会紹介テントに伺ってみました。キャンパスは半世紀前の記憶の風景と重ならなく、まさに浦島太郎状態に。しかし、30週年記念館の「工学部の歴史・写真と資料展」で、今と昔が対比展示されたパノラマ写真を見て、昔が蘇りました。
当時、鉄筋コンクリート建築は1号館だけで、他は元海軍航空隊の木造兵舎を改造したものでした。特に工業化学科の学生実験室、研究室などは今では想像できないほどお粗末でした。しかし、粗末なハード面に比べ、ソフト面では当時新進の後藤、高野両先生から精密化学天秤の実習で分析化学の原点を学び、宇野原先生の分析化学の講義で専門科目に触れ感激した事は今でも印象深く残っています。
また一面自分は化学が好きで進学したものの一般教養のノート取りに失望してました。2年時に、今は亡き高木昭先生の珪酸塩研究室訪門がきっかけで、講義終了後毎日研究室に行く事になり、その後先生には4年生の卒業研究に至る3年間御指導いただきました。珪酸塩研究室には、ストーンテーブルの上に河嶋式熱膨張測定装置、示差熱測定装置、ベックマン型分光光度計など当時として最新の設備が揃っていました.これらの機器習得に挑戦した頃がとても懐かしく思われます。
当時学んだ機器の測定原理・測定技術は卒業後、教育・研究職で大変役にたちました。また研究室では2年先輩の村山、斉藤、太田の諸氏、1年先輩の須山、高山の諸氏らの卒業研究の実験に直接接して、ガラスの耐久性、熱膨張、比重などの物性試験、セメントの化学分析実験、耐火レンガとSiC発熱体を配線した手造りの高温電気炉など多くを学びました。化学系の教育は講義で基礎理論、実験からその応用と工学センスを学ぶことですが、実験を通じて体感して学んだことは多く、大学と高木先生をはじめとする工業化学科の諸先生には大変感謝しています。
訪ねる会1日を終えて帰路の新幹線の車窓を眺めつつ、当時は貧しく苦しい事も多い時代でしたが、化学に興味を持ち自ら求めて実験に取組むことができた学生時代を懐かしく思い、50年のタイムスリップに浸るまま東京駅に到着しました。会の各担当者の皆様、楽しい1日をありがとうございました。